ドSな天才外科医の最愛で身ごもって娶られました

 客室清掃のおばちゃんたちとの会話はいつも楽しかった。芸能人が来たとか、見かけと違って部屋は綺麗な人だとか他愛ない噂話に花を咲かせ、おまんじゅうを分け合い、思い出はたくさんある。

「ところで桜子ちゃんが届け物をした部屋のお客さん、アメリカ帰りの女医さんらしいよ。すごいよね」

 内心ハッとする。

「アメリカ……」

「縁談があって帰国したんだってよ」

「私も聞きました。親同士が決めた結婚って」

「でもなんだかうれしそうだったよ、きっと相手がイケメン御曹司なんだね」

「そうでしょうね」

 ふふっと笑い合う。

「それでもさ、朝井様を超えるようなイケメンはそうそういないね」

 おばちゃんは私の腕をポンと叩いて「じゃあね」と手を振る。

「無理するんじゃないよ、桜子ちゃんは頑張り屋なんだから」

「はい。無理しないよう気をつけます」

 おばちゃんが行ってしまうと、不意に心がざわついた。