ドSな天才外科医の最愛で身ごもって娶られました

 準備が完了して、彼女の話が一区切りついたところで使い方の説明をした。

 これで終わりだ。

「ご不明な点はございますか?」

「いいえ、ありがとう」

「では。失礼します」

「あ、そうそう、彼とディナーを取りたいんだけれど、明日の夜、このホテルにフレンチのレストランがあったわよね、予約できるかしら」

「わかりました。確認して後ほどご連絡します。では」

「はーい。よろしく」

 廊下に出ると、どっと疲れが出た。

 心臓外科医……。

 婚約者の彼って、誰なの。

 慎一郎さんはただの同僚だと言っていたし、そもそもハガキの女性だと決まったわけじゃないし、相手が彼だなんて考えすぎだ。

 廊下を進むと客室清掃のおばちゃんが駆け寄ってきた。

「桜子ちゃん、久しぶり」

「ほんとですね」

「赤ちゃん順調かい?」

「ええ、お陰様で」

 おばちゃんは「無理しちゃダメだよ」と、私のお腹をさする。

「桜子ちゃんがいなくなると寂しいねぇ」