ドSな天才外科医の最愛で身ごもって娶られました

「ありがとう。親同士が決めた結婚だけど、素敵な人なのよ」

「そうですか」

 親同士が決めた結婚というところに、なんとなく嫌な予感がした。ただそれだけなのに、私ったら神経質になっているのかも。

「この前、帰国したときもふたりで過ごしたの」

 うっとりとしたように彼女は言う。

「あっ、私ったらごめんなさいね一方的に話しちゃって」

「いえ。お幸せそうでなによりです」

「まぁ、ありがとう。正直言って幸せなの。だって政略結婚なのに、お互いに愛し合っているなんて奇跡じゃない?」

「ええ、そうですね」

 話を聞いているうちはよかった。

「あなたは?」と、話を振られのだ。

「恋人はいるの?」

「ええ……」

「そう。どんな方?」

「優しい人です」

「職業は?」

「普通の職業の人です」

 笑ってごまかした。

「そう。私の彼はね、心臓外科医なの」

 ハッとして一瞬手が止まる。

「そうですか、それは大変なお仕事ですね」