ドSな天才外科医の最愛で身ごもって娶られました

 百貨店の外商のスタッフを用意した部屋に案内し、朝井様をお迎えに行って部屋に向かう。

「お迎えにあがりました」

 彼は先ほどとは違うちゃんとした服装で現れた。髪も乾いている。それはまあ当然だけれど密かにホッとする。

 エレベーターに乗り、さりげなさを装い彼の服装をチェックした。

「朝井様は、紺色の服がお好きなのですか?」

 記憶を頼りに言ってみた。

 確か彼の服装は紺色が多かったような気がする。今も彼は紺色のジャケットを羽織っているし。

「いや別に」

 って――えっ。返事はそれだけですか?

 目の端でちらりと見るが、彼は前を向いたまま無表情を崩さない。口は結んだままで答えの続きはなさそうだ。

 エレベーターを降りて廊下を進みながら、さらに聞いてみた。

「スーツ以外にお選びになるお洋服はお仕事用ですか? それとも」

「どっちも」

 相変わらず短い返事に、私は心の中でがっくりとうなだれる。

 やれやれ。彼は間違いなくS系男子だ。

 私を困らせることに長けている。