「じゃあ、あそこのベンチで」
努めて心を落ち着けようとした。
彼は私もおなかの子ども受け入れようとしてくれている。
そんなに簡単に答えを出してはいけないのに。
彼には実家の病院を継ぐという大変な未来がある。彼の将来を第一に考えなくちゃ。
お腹に手をあてて、赤ちゃん私に力をちょうだいと祈る。
「さあ、座って」
「はい」
ベンチに腰を下ろすと、彼は私のお腹をなでた。
「うれしいよ、桜子。エコー写真は持っていないのか?」
見てほしいという気持ちと、見せちゃいけないという気持ちがせめぎ合う。
それでも彼はこの子の父親なのだから、その権利を奪ってはいけないのよね。
期待している目を向けられ、苦笑しながらバッグから、手帳を取り出して見せた。
「はい。どうぞ」
子どものように瞳を輝かせて写真を見た彼は「嘘だろ」と絶句する。
「双子なんですって」
「すごいな、桜子!」
またしても彼は私をギュッと抱く。



