ドSな天才外科医の最愛で身ごもって娶られました

「実は」と正直に話をした。

「インカムの話もいろいろ桜子から聞いています。だからなにひとつ疑ってはいないんですが、彼女の様子が少し変だった日があって」

 結果はやはり思った通りだった。

「一緒に飲もうと誘われて、断ると腕を掴まれたそうなんです」

 それは要するに。
「――襲われそうになったと?」

 思わず拳を握った。

「振りほどいてすぐ部屋から逃げ出したし、追っては来なかったから、桜子は大事にはしなくていいって」

 そんな目に……。

「真面目な人だと信用して入ってしまった自分の落ち度もあるからって。桜子は朝井様に心配かけたくなくて言わなかったんだと思います」

 とにかく、事情はわかった。

「教えてくれてありがとう。それから、様はつけなくていいよ。俺も伊藤さんと呼ばせてもらうから」

 彼女は照れたように笑う。

「すみません。代名詞のようになっていたもので」

「それで、旅行なんだが、なにか聞いてる?」

「桜子とは連絡とれないんですか?」

「うん。電話も出ないし、メッセージにも既読はつかない」

「そうですか」

 彼女は眉をひそめて握った右手を口もとにあてて考え込む。