ドSな天才外科医の最愛で身ごもって娶られました

 つらつら考えながらバーに入ると「お待ちしておりました朝井様」と声をかけられた。

「伊藤から、連絡がありましたので」

 なるほど、このバーテンが彼女の恋人なのだろう。

 どうぞと勧められたのはカウンター席だった。

「なにになさいますか?」

 メニューを見るとノンアルコールのカクテルに目が止まった。少し迷ってモヒートを頼む。酔わない程度に、サッパリしたカクテルで気分を落ち着けたい。

 ふと、そういえば夕食をまだ食べていなかった。

 かといって桜子が用意したものがあるだろうから、チーズとナッツの盛り合わせを頼む。

 伊藤美江が来たのは、モヒートを飲み始めたときだった。

「お待たせしました」

「いえ、こちらこそ申し訳ない」

 彼女はノンアルコールカクテルを頼んだ。

 この際なので小池が言っていた話を聞いてみた。

 あの夜の桜子の様子はやはり気になる。

「桜子は最近、男性客からなにか。嫌な思いをしたと言っていませんでしたか?」

「男性客?」