ドSな天才外科医の最愛で身ごもって娶られました

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 やっぱりなにかが変だ。

 仕事が終わり夜の九時に帰るといると思っていた桜子はいなくて、ダイニングテーブルの上にメモがあった、

【旅行に行ってきます。夕月】

 突然すぎるだろ。
 しかも桜子ではなく、〝夕月〟って。

 今朝一緒に朝食を取っているのに、旅行の話などまったくしていなかった。

 むしろ顔色がよくないように見えたから『体調悪いのか』と聞いたくらいだ。

 フルーツしか食べず、食欲もなさそうで心配になり、脈を見ようとして『大丈夫よ』と遮られた。

『ホテルで結婚式が続いたからちょっと疲れているだけ。休めば平気だから心配しないで』

 いつものようなにっこりとした明るい笑顔を見て、それ以上の詮索をせずにいたが。

 休むはずが突然の旅行?

 それになぜ手書きのメモなのか。

 急に決まったとしてもおかしい。遠慮して電話をかけないにしても、普段の彼女ならメッセージを送ってくるはず。

「桜子……」

 ここ最近の彼女はなんとなく俺を避けているような気はしていた。

 無理強いはいけないと自分に言い聞かせていたが、それが裏目に出たか。