ドSな天才外科医の最愛で身ごもって娶られました

「インスピレーションで答えればいいわよ。心配しなくても選ぶのはプロだもの、似合わないものは進めないから大丈夫」

「あ、そうか。そうですよね」

 気を取り直し、今度は急いでフロントに向かう。

 今日の勤務は遅番で、私は出勤したばかり。三十分後に早番のスタッフと交代する手筈になっている。

 朝井様の要望に応えるとなると、結構な時間を取られるし、フロント業務に支障がでる。今度こそ朝井様にコンシェルジュをつけるよう話をしてもらおうとチーフに相談した。ところが──。

「今のままでいい。スイートは満室だしコンシェルジュも忙しいからね」

 チーフの耳には届かない。

「えっ、で、でも」

「大変でもがんばるんだ夕月さん。引き続きしっかりおもてなしするように。支配人にもそう言われているからね」

 しかも今後、朝井様のご要望には最優先で応えるようにと申しつけられた。

「幸いこの時間は忙しくないし。朝井様は君を気に入ってくださっているんだ。ありがたいことじゃないか」

「はい……」