ドSな天才外科医の最愛で身ごもって娶られました

 俺の気も知らないで、彼女はいつも憎たらしいほどあっさりと流す。

 夕べたっぷりと愛したし、君だって我を忘れて身を任せていたくせに、どうしてそうもつれないんだ?

「行っても、どうせいい話はないからな」

「またそんな。ご両親は楽しみにしているでしょうに」

 まあな。どうせここぞとばかりに食べきれないほどの食事が並ぶんだろう。この前はすき焼きのほかに大きなエビフライまであった。食べ盛りの子供じゃないっていうのに。

「今夜はなにを食べるんだ?」

「うーん。決めていませんけれど、ひとりだから簡単に」

 少し考え込んだ桜子は「あ、そうだ」となにかを思いついたように両手を合わせた。

「試供品のレトルトカレーをもらったんですよ。あれにしよう」

「へぇ、おいしそうだな。俺もそっちの方がいい」

「レトルトカレーですよ?」

 あきれたように笑う彼女に手を伸ばし、抱きしめたい衝動に駆られ、ぐっとこらえた。急いては事を仕損じる。

 それでも指先で顎をすくい、軽く触れるだけのキスをした。