ドSな天才外科医の最愛で身ごもって娶られました

 少なくとも彼女にとって俺は一番じゃない。

 一番は間違いなく弟の優斗だ。電話もよくしているようだし誰よりも優斗を大事にしている。

 よくて二番目か。

 追いかければ逆に逃げてしまいそうな歯がゆさはあるが。俺は彼女にとって一年間だけの契約婚約者だから仕方ないんだろう。

 もっと頼ってほしいんだが、遠慮させてしまったのは俺だ。

 なんとかもう少し距離を縮めたいと思った矢先。

 夕べ、桜子は言った。

『抱いてくれますか?』

 泣いているように見えたが、気のせいではないだろう。

 なにがあったんだ。


「早いな。遅番なんだからゆっくりすればいいのに」

「一緒に朝食をと思って。慎一郎さん、今夜は実家でしょ」

 ああそうだった。

「どうしても今日帰って来いってうるさくて」

 今夜は仕事帰りに実家に行き、そのまま泊まってくる予定になっている。

 せっかく今日は、君も休みで家にいるっていうのにな。

 名残惜しさがため息に変わる。

「はぁ」

 桜子はくすくすと笑う。

「いけませんよ。そんな顔しちゃ」