ドSな天才外科医の最愛で身ごもって娶られました

「朝井様、先ほどの件ですが、一時間以内にはご用意できると思います」

 かくかくしかじかと説明する。

『わかった。そのとき同席して君に見立ててほしい。よろしく』

 えっ? 見立てるって、まさか。

「私が……、ですか?」

『ああ。君に選んでもらった方が安心だ。似合いもしないものを進められる心配がないからね』

 またしても無理難題を。

「――はい。わかりました」

 電話を切ってため息をつくと、由紀先輩が心配そうに眉を下げた。

「どうかした?」

「服を選んでいる間、私に同席して見立ててほしいとおっしゃるんです」

「がんばって」

 由紀先輩が笑う。

「何事も経験よ。朝井様の相手をできるのは夕月さんしかいないわ」

 由紀さんはにんまりと頬を上げる。

「でも、私が朝井様に似合う服を選ぶだなんて責任重大すぎませんか? 男性の服なんてさっぱりわからないです。どうしよう」