ドSな天才外科医の最愛で身ごもって娶られました

 つまずいた私を彼が支えてソファーに倒れ込み、気づけばキスをしていた。

 キスをすればその先に進むのは簡単で……。

 

 うーん。

 いいんだろうか。

 嫌ではないけれど。

「夕月さんお客様がお呼びよ。結婚式でご利用くださった山本様」

 あ、山本先輩ね。

「スマホの充電用ケーブルを持ってきて欲しいって」

「わかりました」

「夕月さん、インカム確認してね」

 真顔のチーフが念を押すように私をじっと見る。

「はい」

 すべてのお客様がいい方とは限らない。特に異性のお客様の呼び出しは慎重になる。それは顔見知りのお客様でも同じだ。

 慎一郎さんはホテルのシステムを知ってか知らずか、滅多に私たちスタッフを安易に部屋に入れようとはしなかった。私ももちろんインカムを外してはいない。

 山本先輩だから心配ないとはいえ、一応念のためにインカムが正常に機能しているか確かめてからフロントを出た。

 先輩は都内でも郊外にお住まいだったはず。なにか用事があってお泊まりになるのだろう。