ドSな天才外科医の最愛で身ごもって娶られました


 彼女を抱いた明くる朝、少し恥ずかしそうではあったものの、何事もなかったようなそぶりでいた。

 キッチンにいて『コーヒーは今落としておきました。では、帰りますね』とあっさりと言った。

『夕べのお話は冗談ですよね。万が一、またご両親がお見えになるとか困ったときは、ピンポイントでご協力させていただきますから、おっしゃってください』

 にっこり笑って、よいしょとスーツケースを持ち上げて。

『失礼します。朝井様お世話になりました』

 深々と頭を下げる彼女についつられて、『いえ、こちらこそいろいろありがとう』と返した。

 夕べ初めて男を知ったとは思えないドライな様子に呆然とするうち、彼女は廊下に出ていく。

『あ、ちょ、ちょっと待って』

 慌てて彼女の手からスーツケースを取り上げ、ソファーに座って欲しいと頼んだ。

『冗談ではなく本気で君にお願いしたいんだ』