ドSな天才外科医の最愛で身ごもって娶られました

 由紀先輩が挙げた例は、万人が認めるイケメン俳優である。モデルから俳優になっただけあってスタイルもいい。

 確かに。朝井様を例えるならイケメン俳優しかいない。

 冷ややかなわりにはやけに色気のある目もと。初めて彼がロビーに現れたときは、周りにいた女性の視線が一気に彼に集まった。

 かくいう私も、こんな俳優さんいたかしらと、記憶をたどったくらいである。

 でも彼は芸能人ではない。サングラスで顔を隠すわけでもないし、おつきのマネージャがあれこれホテル側に注意をしてきたりもしないから、一般人ではあるはずだ。

 朝井様は何者かと、ホテルのスタッフの間でも噂になっているし、滅多にお目にかかれに美形とあって、ホテルのスタッフも浮足だっている。

 イケメンを苦手とする私は別として――。

 実際のところ、彼はどんな仕事をしている人なんだろう。



「三十分後には来るそうよ」

「よかった。ありがとうございます」

 ホッとしたところで、朝井様のお部屋に内線電話をかけた。

『はい』