ドSな天才外科医の最愛で身ごもって娶られました

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「あ、朝井先生」

 外来で来ていた患者に声をかけられた。去年俺が手術を担当した壮年の男性である。

「どうですか、その後」

「おかげさまで働けるようになりました」

「それはよかった」

「朝井先生がこの病院にいてくれると思うだけで、私は安心ですよ」

「うれしいですけど、会わないで済む方がいいんですよ?」

「あはは、そりゃそうだ」

 その後も何人かの患者と話をしながら進む。

「朝井先生、よかった。お会いできたわ」

 患者の付き添いである夫人が、バッグからチョコレートが見える透明の袋を差し出した。
 赤い銀紙に包まれたハートのチョコレートが三つ入っている。

「本当は一昨日なんですけどね。ささやかですがどうぞ」

「ありがとう」

 今日は月曜日。診察に来た患者から、いくつかチョコレートをもらった。
 バレンタインは昨日、日曜日で外来は休みだからだろう。