ドSな天才外科医の最愛で身ごもって娶られました

 なるほどと密かに唸る。百貨店の外商ならばどんなブランドでも扱ってくれるだろう。

 由紀さんは、早速近くにある老舗百貨店に電話をする。

 本来なら朝井様の要望を承り対応するのはここスイートルームの担当コンシェルジュである由紀さんなのだが、朝井様はこのホテルで最初に応対した私を担当だと一方的に決めてかかっている。

 彼は由紀さんに『夕月さんに頼みたいことがある』と言う。

 だが経験の浅い私では由紀さんのようにはいかない。

 由紀さんはさすが憧れのコンシェルジュだ。まだ三十代と若いのに、彼女に相談して解決しない問題はないくらい何事にも精通している。

 私も早く彼女のように一流のコンシェルジュになりたいと羨望の眼差しを向けながら電話が終わるのを待っていると、由紀さんはどんな人かを説明しているようだ。

「年齢は三十歳くらいでしょうか。身長は百八十より少し高い程度、脚が長くスラリとした体型で、美形な方でいらっしゃいます。そうですね、例えるなら──」