ー 「明日、受験が終わったら 塾に急いできますんで、 廊下の… あの、ソファがある場所で 待っていてくれませんか?」 話したいことがあるんです…、と少女が顔を真っ赤にして俯きながらそう言ったのは、雪が降り積もる3月、受験の日の前日のこと。 「ん、わかった。 明日、そこで待ってる」 俺はそんな彼女の頭に手をのせて、答えた。