また会えたなら、その時は

2、あの日の事

 5年前の秋だった

葵は21時頃に古着屋の仕事を終え、家に帰る途中だった

突然通り魔に包丁で右腹部を刺されてその2時間後に亡くなっった

自分は仕事場に電話が来たあとすぐに上司に言い病院に行ったが

その時は息があったものの何も喋れずに葵は逝ってしまった

…警察によるとこの町で最近度々起こる連続通り魔事件の犯人らしい

その3か月後にはその犯人は捕まったという

犯人は愉快犯ってことらしい

けど、警察が言ったことなんてどうでもよっかた。ましてや、無縁量に

馴れ馴れしく問い詰めてくるメディアはそれこそ論外だった

俺は、最期の最期で話しながら涙を浮かべて、でも、どこか安心して旅立つ

という当たり前で見る気もなくなるドラマが無性に羨ましく思えた

でも、5年がたってもう葵の死を、妻の死を受け入れ、自覚するようにした



もうこの事実は変えられないのだから