彼女は俺の家を「男の部屋ね」と評した。そうか? 彼女の部屋と大差無いように思うけど。
 彼女の仕事はなんなんだろう。朝6時に起きて19時には帰宅している。服装はスーツの時もあれば、ビジネスカジュアルな時もある。土日祝日は休みだ。夜遅く帰宅する時カフェには現れない。男達と居る時もある。
 仕事の話は一切しない。この10年間推測しっ放しだが未だにはっきりとはしていない。
 もし彼女がお金に困るようなことがあったら、俺は無償で援助しようと考えている。彼女はイヤがるだろうか。
 いつまでも元気で働けるわけではない。いつまでも俺を含む8人の男達が彼女の周りに居続けるわけではない。
 誰かとの間に子どもが出来るかもしれない。そうなったら俺が父親になっても良いとさえ思える。それこそ彼女はイヤがるだろうか。
 結婚するわけでもなく、そんな風に連れ添う男女が居てもおかしくないだろう。ますます多様性の時代なのだから。
 彼女のような女が身近に居るというのは刺激的だ。脱力系の俺の人生の静かなる刺激。
 今までもこれからも、お互いに刺激し合って生きて行く。

 人間関係がうまく構築出来ない人間は彼女を見習えば良い。