「藤村操だ。

 前に言った通り、死ぬ理由に貴賤は無い。

 君は両親のことが理由で、私は形而上学的な理由だった、それだけのこと。

 ただ、私の躰から流れ出ていく血の流れを見ながら、私は悟ったんだ。

 これは、『完璧な自殺』じゃないってね。

 だからあの時は自分で救急車を呼んだ。

 まぬけな話だ」