電気店の前から、マンションまでの家路で、少しだけ近宮先輩は自分のことを語ってくれた。

 うっすらと感づいていたけれど、近宮先輩の手首には大きな自傷の跡があった。

 手袋を外してその跡を見せた後、淡々と、どうでもいいことのように近宮先輩は語った。