「私は、何をすればいいんですか?」

 胸の動悸を抑えながら、私は口にする。

 このヒト、近宮先輩を受け入れ始めている自分に自分自身が一番驚く。

「お、興味が沸いてきたようだね」

「完璧な自殺っていうのには興味があります。

 でも、契約っていうからには、私も何か差し出さなきゃならないんですよね?」

「何、簡単なことだ」

 そこで、近宮先輩は優美な動作で髪を耳にかけると、クイっと、グラスで何かを飲み込むようなジェスチャーをしてみせた。