「……見つめるな。……そんな目をして」



藤崎さんは目を閉じた。



「………また、会えますか…?」


訊くのが怖い。



でも、尋ねるしかなかった。



仕事。藤崎さんの地位。彼のいる社会的な環境──信頼を置いている部下の存在。それとの天秤にかけられたとき、私は藤崎さんの大切なものを脅かす存在なのかもしれない。



彼の吐息が聞こえる。
 


「…………初めは誰かの差し金かと思った。でもきみのやり方があまりに単純で、狡猾さもなく、そうじゃないと分かったよ。………きみが魅力的だった。だから誘った」



ようやく藤崎さんの瞳がこちらを向いた──





「………今井はきみを欲しがってるんだろう。揉めるのは得策じゃない」



言葉とは裏腹に、私を見るその瞳にはさっきの熱が残っているのが見えた。