数回甘く唇を重ねた後、


私の上に触れていた唇は急に離れていった。






「……帰ろう。送るよ」



藤崎さんの横顔。




さっきまで向けられていた獲物を見るような瞳は、ハンドルに手をかけながら前方を見つめている。



エンジンをかけて滑り出した車の助手席で、私は藤崎さんの横顔を見つめ続けた。




沈黙の中で暗闇の景色だけか流れていく。