夜を越える熱

藤崎さんの主導で軽やかに始まったキスは次第に深くなって、




唇が離れた頃には私の心臓が苦しいくらいに鳴っていた。





はあ、はあ………



乱れた呼吸を整える私に反して、停まったままの車の運転席で藤崎さんは正面を睨んだ。



こちらは苦しくて仕方ないくらいのキスなのに、藤崎さんにとっては余裕があるのかな、と思う。




藤崎さんは前を睨んだまま口を開いた。




「……俺が帰る間際に今井が部長室に来た。今日、河野さんがここに来なかったかってね」