夜を越える熱

頬が熱い。


「……可愛いよ」


甘い言葉に赤くなった私を、藤崎さんは余裕の笑みで見つめている。




「……食べなよ。せっかく来たんだから」




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社会人になって初めて恋をしたのが高松さんだった。仕事の分からない私と、先輩の高松さんとでペアを組むことになり、色々と教えてもらった。



優しくて面倒見が良い高松さんは安心感があった。



この人なら安定した恋愛が出来るんだろうな。




直感的にそう感じるようになった。



大切にされる恋愛。安定した長く続く関係。将来に繋がる何か。




そういうものに憧れていた。




でも、彼に恋人が出来たと知り、毎日幸せそうに笑う姿を見ているうちに気がついた。




……好きな人が女性と愛を語らって裸で抱き合っている。





彼は私のものでもないのにそんな想像で心はいつしか嫉妬心に燃やされて、




……私が夢見ていたものは




ただの甘い夢物語。




そう気がついた。