ノックをして入った部屋。


「失礼します」

藤崎は顔を上げる。


「河野です。…………藤井課長に私の案を提案しましたが、…システム改修の必要性を訴えても、自分のミスを棚に上げて改修の話かと言われてしまいました」

思い切って一気に伝えた。勿体ぶったところで残念な報告には違いない。


「そう。それで?」

感情のない返事。鋭い瞳が向けられる。


「……以上です」


藤崎は失笑した。


「要らないよ、そんな報告」