夜を越える熱

今井に抱き抱えられるようにして鍵の開いた部屋の中に入る。


玄関の電気をつけると、


靴、脱げる?

柔らかな声でそう今井に聞かれた。



恍惚とした状態で藍香が靴を脱ぐと、藍香のバッグはその場に置かれ、膝から抱き上げられる。




そのままあっという間に部屋の奥まで連れて行かれた。



部屋の隅に置いてあるベッドにふわりと横たえられる感覚。



…………




今井のビジネスリュックが床に降ろされた重い音がする。



顔を上げるとジャケットを脱ぎ、ネクタイを緩める今井の姿が薄暗い部屋の中で見えた。



完全には状況が飲み込めないまま起き上がろうとすると、藍香のいるベッドが今井の体重できしんだ。


起き上がろうとした身体を抱き締められながら押し倒される。今井の身体の下に組み敷かれた。


「………抱くからね」

耳元で囁かれる声。