部屋、どこ?


そう訊かれて、心臓が落ち着かずに鳴る中、3階の藍香の部屋の前まで来た。


「……ありがとうございました。送っていただいて……」


「…うん。鍵、開けなよ」


今井は藍香を見る。

藍香は一瞬固まったが、バッグから鍵を出すと部屋の鍵を開けた。

「……あの、もう大丈夫ですから」


夜の空気の流れはぬるいのに、身体だけが異常に熱い。


目の前の視線に見られすぎている、と思う。




沈黙。





今井を見上げた瞬間、熱のこもる瞳に捉えられて息を呑んだ。


「もう一度キスするよ」



返事をするよりも前に左手首を掴まれて、ドアの方に体重をかけられた。