「…もう一つ、話していいですか?」

頭にもやがかかってきた。試されてると言われても、それも藤崎の話からすると当然なのかもしれないと思う。

最近会った一職員の女が急に自分に寄ってくる。反対勢力もいる中で、何か今まであったのかもしれない。警戒するのも仕方ないのかもしれない。


「その上司のこと、やめておけという人がいて。その人にこないだキスされて、抱き締められて…驚きました。その人のことが気になるけど……ねえ、吉田さん。今井さんてどんな人?」


思い切って聞いてみた。吉田は今井のことを知っているようだったし、何でもストレートに言う吉田なら何か話してくれるかと思った。



「は?……今井?」

吉田は一瞬黙ったが、すぐに平静に戻る。

「どんなってどういう意味?恋愛においてってこと?」

「そうです」

「んんー、あいつは長く付き合ってた女が居たけど……最近は固定の人はいないんじゃない?固定じゃない女くらいはいるかもしれないけど、さあ、俺はよく知らない」


そう言いながら何かを思い出したように吉田はポケットから出した携帯電話を触った。


「本人に聞けば?呼んだから」