「こんばんは、宮地です。高橋さん…と、河野さん、でしたよね。宜しくお願いします」


宮地と名乗った男性は美桜と藍香の名前を呼んだ。話をしていなかったのに藍香の名前まで覚えていたことに少し驚く。

「あ、はい。高橋です。こないだはありがとうございました」

緊張しているのだろうが、にこやかに笑っている美桜。

「河野です」

藍香も笑って挨拶を済ます。


─宮地さん、良い人そう。美桜のこと気に入ったんだな。


そう思っていると

「吉田です。どうも」


笑顔を浮かべてはいるものの面倒くさそうに隣のTシャツの男性はそれだけ言い、どかりと藍香の前の椅子に座った。


─あ、Tシャツ。ピンク……しかも変な絵が描いてある。

吉田のTシャツの色とよく分からない絵に見入っていると、吉田はじろりと藍香を見た。