「…はい、係長と課長にも運用の見直しとともに、システム改変の必要性をお話しようと思います」


少しヒールのある靴の足元がぐらぐらする。


射抜かれそうな藤崎の鋭い視線。それに耐えながら藍香はようやくそう答えた。


「そうだね。簡単ではないよ。改変には予算も必要だし、あの藤井課長を始め、予算を握ってる面々もなかなか頭が固いのを私も知ってるよ。でも、必要性を訴えるのと訴えないのとでは天と地ほど差がある。……やってみる覚悟があるか?」

「はい」

「そうか」

藤崎は満足そうに口の端を上げる。


その唇に魅入られたように見つめながら、藍香は自分の胸が脈打つのを感じていた。


「………結果がどうなったか…経過報告をしに、またこちらへ来ても宜しいでしょうか」


「経過報告は要らない。結果だけでいいよ」


ぴしゃりと言われた。


「いえ、……その……報告したいんです。部長に聞いていただきたくて。ぜひ、宜しくお願いします」


藍香の必死な様子に何を思ったのか。藤崎は少し笑って答えた。


「いいよ。そうまで言うなら。私の手が空いてる時ならね。どんな報告か待ってみよう」