ノックをして入った広い部屋。
ついたてと椅子があり、その向こうに大きなデスクがある。
思っていたより物が少なくて広いことが意外だ。物が少なく見えるのは、書庫や棚のある部屋が隣にでもあるのかもしれない。
「失礼します」
奥のデスクで何か書類に目を通していた男性の前に二人で立つ。
──藤崎部長は、この人?
藍香の中での部長のイメージは、初老でふくよか、怖そうな感じ─と、そう勝手に想像していたが全然違った。
藍香よりはかなり歳上だろうが、思ったよりずっと若そうだったし、体型もスマートだ。
けれど、座っていてこちらを見ていなくても何となく醸し出される威圧感があり、自然と緊張を感じる。
「はい」
ゆっくりとした返事。
「お忙しいところすみません。……主任の高松と、河野です。藤井課長から聞いていらっしゃることと思いますが、この件で」
高松に促され、藍香は部長に顛末書を手渡した。
「聞いているよ」
少し切れ長の目はざっと顛末書に目を通すと、そのままふわりと目の前に返される。
「あの、私のミスで。申し訳ありませんでした……。再発防止に尽力します」
「藤井課長がえらく血相変えてたね。課長に言われて謝り来たのか。再発防止か……防止出来ないだろ」
ついたてと椅子があり、その向こうに大きなデスクがある。
思っていたより物が少なくて広いことが意外だ。物が少なく見えるのは、書庫や棚のある部屋が隣にでもあるのかもしれない。
「失礼します」
奥のデスクで何か書類に目を通していた男性の前に二人で立つ。
──藤崎部長は、この人?
藍香の中での部長のイメージは、初老でふくよか、怖そうな感じ─と、そう勝手に想像していたが全然違った。
藍香よりはかなり歳上だろうが、思ったよりずっと若そうだったし、体型もスマートだ。
けれど、座っていてこちらを見ていなくても何となく醸し出される威圧感があり、自然と緊張を感じる。
「はい」
ゆっくりとした返事。
「お忙しいところすみません。……主任の高松と、河野です。藤井課長から聞いていらっしゃることと思いますが、この件で」
高松に促され、藍香は部長に顛末書を手渡した。
「聞いているよ」
少し切れ長の目はざっと顛末書に目を通すと、そのままふわりと目の前に返される。
「あの、私のミスで。申し訳ありませんでした……。再発防止に尽力します」
「藤井課長がえらく血相変えてたね。課長に言われて謝り来たのか。再発防止か……防止出来ないだろ」
