透李とチトセを引き連れて歩いていると向かいから小さな少年がぱあっと笑顔を咲かせ私に抱きついて来ようとして、チトセにかかえられた。

「わぁぁ、なに!?なんですか執事長!」

魔人でいたずら好き、愛すべきアホの子、ねるまだ。

チトセはねるまを床に座らせギロっとにらむ。ねるまは涙目でチトセを見ながら私をチラチラとみて助けを求めてくる。
涙目のねるまは非常に母性をくすぐるが、悪いねるま。私にチトセを止める力はない。

「これ、わかりますか?」

チトセがブローチを取り出してねるまに見せる。
ねるまはビクッとしてえへへと笑う。

「あまりにも綺麗で…。で、でも執事長室の掃除をちゃんとしてたよ!綺麗になってよね?箒を引っ掛けてそのブローチが入ってた棚をひっくり返しちゃて、大体はちゃんと返したの!でも、そのブローチだけしまう場所が分からなくて…だからとったわけじゃないんだよ?執事長に渡そうと思ったら無くしちゃって…」

ねるまの言い分をきいてチトセは少しづつ表情を崩し、はぁとため息を吐く。

「まぁ、今回はいたずらやわざとでないようですので許します。でも、ひっくり返した事を聞いてませんし、無くしたのでしたらそれを報告すべきです。結局これを返しに来たのは玲来でしたよ。玲来に謝ってくださいね」

チトセはそういって、私にまた行きましょうと促した。