燈蛍が少し悲しそうにしていたが声を掛ける間もなく、チトセと透李に護られるように囲まれる。
…心配しすぎなようなきもするが、きっと2人も私を守ってくれているんだろう。

「緋女様、焔神教会までの道のりはわかりますか?」

チトセが問うてくる。私は昔から方向音痴だから心配なのは分かる。しかしさすがに王宮から見えていて、更に1本道の焔神教会までに迷う方が難しい。…もしかしてバカにされている?
そう思いつつ、私はチトセになにも返さず意気揚々と歩き出した。

「緋女様、そこは右でなく左です」

…少し自分に不安になった。
この後私、ちゃんと迷わず焔神教会に付けるのだろうか。

「わかっている、チトセを試しただけだ」

「そうですか、指摘できてよかったです、緋女様」

チトセが優しく乗ってくれつつ、透李が珍しく吹き出したが私は構わず前を向いて歩き続けた。

すると歩いてしばらく、いつも必ず見回りをする市場が見えてくる。今日も沢山の民で溢れかえっている。炎の国は商業国家だし、賑わっていて何よりだ。