お母様へ作るアロマの練習がおわり、ベッドサイドのテーブルに置く。透李のせいで乱れたシーツを直していると、ドアがノックされた。

「入れ」

私が返事をすると、ハーフヴァンパイアでアーキビストのなんスーが、姿を現した。

「失礼致します、緋女様。ちょっと至急確認して欲しい資料がありまして」

なんスーが手に持った資料の山から1枚手に取り、私に近寄ってこようとして、いきなりコケる。

「わ!?」

何も無いところで躓いたため、私も動けずにいて、なんスーの頭がちょうど私の胸元にきて、私の胸に顔を埋めるような状態になる。一瞬時が止まり、なんスーは私から離れると、腰を90度に曲げて謝ってくる。

「申し訳ございません、緋女様!毎度毎度のことでは御座いますが決してわざとではないのです!どうか、どうかクビだけはご勘弁を!」

なんスーがドジっ子なのは今に始まったことではないし、狙っているのではないかと思うほどにラッキースケベが起きるからもう慣れた。
ある日は、私の胸に手の甲が当たったり、またある日は氷麗を押し倒したり…しかし、なんスーには全く悪気は無い。

「大丈夫。……で、どの資料?」

なんスーがコケて資料を、ぶちまけたせいで私が至急目を通さなければならない資料がわからなくなる。なんスーが真っ青になりながら資料を集める。私も手伝おうとしたら

「緋女様にそのような作業させられません!」

と言われたが、

「私に資料集めを手伝わせるのと私が至急さっきの資料に目を通すならどっちが重要だ?」

と問うと、なんスーは項垂れて

「手伝って頂き誠にありがとうございます、緋女様。助かりました」

とお礼を言ってきた。