電車の窓に、自分の顔が映る。

不倫なんて、浅ましい馬鹿な女がやるものだと思っていた。

その人のいい部分だけ見て、嫌な部分は奥さんに任せて。

いつか制裁がきて、ざまぁと思っていた。


でも、今の私はどうだろう。

そんな不倫に身を焦がして。

全身全霊で、悠真君を愛している。


「悠真君。」

ぽつりと呟いた名前に、愛が溢れていた。

もうどうなったっていい。

そんな事を考えていたら、隣町に着いた。


電車を降り、改札を抜け、駅の前で悠真君を探した。

仕事には、電車通勤だって言っていた。

だったら、イチかバチかで探してみるしかない。

私は、キョロキョロと流れ行く人を見ていた。