急いでメモを取ろうとする彼の側に行く。

「はい、生姜焼き定食、こちらは回鍋肉定食ですね。」

代わりに私が注文を聞く。

「何だ、兄ちゃん。使えないな。」

「すみません。今日、入ったばかりなので。勘弁してください。」

謝るのも、店長である私の役目。

けれど、彼は頑張った。


翌日も、その翌日も。一週間、二週間経っても、頑張り続けた。


「大崎さん。」

「悠真でいいよ。同じ歳でしょ。」

私は頭を掻いた。

「……悠真君。今日、何食べたい?」

「残り物でいいよ。」

夜の営業が終わると、二人で夕食を食べた。


「おやすみ、一花ちゃん。」

「おやすみ、悠真君。」

寝るのも同じ部屋。

朝、目が覚めてから夜、寝るまで。

悠真君と一緒。

まるで私達、姉弟みたいだ。