落ちてしまう。と思う前に、シュエットの体が傾ぐ。手すりにもたれた体はそのまま停止するかと思いきや、ズルリと頭から重力に従って落ちてきた。

 エリオットはとっさに風の魔術を発動させると、シュエットの体を浮かせる。

 ふわふわと空から落ちてくるように下ろした彼女を、エリオットは大事そうに抱えた。

 気絶しているのか、シュエットは苦悶の表情を浮かべてまぶたを下ろしたまま。

 それでも、こんな間近で彼女を見たのは初めてのことで、エリオットはついまじまじと見入ってしまったのだった。