それからだ。

 中庭を通り過ぎる時、三回に一回くらいの確率で、なんとも言えない物言いたげな視線を感じるようになったのは。

 決して好意的とは言えない視線が、シュエットは不思議でならない。

 だってシュエットは、エリオットと会ったこともなければ、喋ったこともないのだ。そんな状態で、どうして嫌われるのだろう。

(私、知らない間になにかしちゃったのかしら……?)

 何度もそう思ったけれど、思い当たることなんて一つもなかった。

 五年生であるエリオットと三年生であるシュエットに、接点なんてないのだから。