ベルジュネットの言葉に、なるほど、とシュエットは深く頷いた。

だが実のところ、シュエットの頷きはベルジュネットの意見に対してというより、彼女の「姉さんが言ってたもん」に対してのものだった。

 大人びたコルネーユならまだしも、見た目も中身もお子様なベルジュネットが恋愛についてやけに詳しかったのは、姉の影響だったらしい。

 ひそかに自分だけが置いてけぼりを食ったような気分になっていたシュエットは、ホッと胸を撫で下ろした。

「そうね。最近読んだ恋愛小説にもそんなものがあったわ。そして、包容力のある大人の男性が手を差し伸べて、彼女はそっちに気持ちを傾けていくの……」

 うっとりとした顔で物語のあらすじを語り出すコルネーユの言葉の続きを遮るように、予鈴が鳴る。

 バタバタと駆け出した友人たちを、シュエットは見送った。