「関係者を全員、捕らえたからね。侯爵は現在、取り調べ中だよ。解術方法も、間もなくわかるだろう。この件で僕は生まれて初めて、王弟で良かったと、公爵で良かったと実感した。そうでなかったら、こんなことはできなかっただろうからね」

 初めて権力を行使したよ、とエリオットは泣き笑いの顔で告げてきた。

 シュエットを逃すものかと必死だった、と。

「僕はずっと、公爵であることが嫌で仕方がなかった。出来損ないのくせに位だけは立派で、それに見合う努力もまともにできない。粛々と、与えられた義務を全うするだけの存在だった」

 嫌で仕方がなかった、公爵の力を使う。

 それはエリオットにとって、どれほど苦痛を伴うものなのだろう。

 シュエットは痛ましげに、彼を見た。