目の前には被害者、シュエットは加害者。

 何をされても文句を言える立場じゃない。

「どうしてもシュエットを諦めきれなかったから、足掻かせてもらっただけだ。でも、シュエットも悪いんだよ? だって君ときたら、僕のことをきちんと拒絶してくれなかった」

「私はさよならって言ったわ。終わりにしましょうって」

「駄目だよ、そんな言葉では。僕は人付き合いが下手なのだから。察するなんて高度なこと、できやしないんだ。僕を完全に拒否するつもりなら、“大嫌いだ”と突き放さないといけなかった」

 お望みならば、言ってやるわ!

 勢いで口を開き、シュエットは心にもないことを叫ぼうとした。

「だっ、」

 しかし、伸ばされてきたエリオットの手が、彼女の唇を塞ぐ。