驚いたからじゃない。

 愚かにも、また会えたことに体が勝手に歓喜している。

 エリオット。

 そう呼びそうになって、シュエットは唇を噛んだ。

「ここは、貴族用の取調室さ」

 まるで恐怖小説のワンシーンみたいだ。

 振り返ったら、凶器を持った狂人が立っていそう。

 そんなことを思うのは、クツクツと笑う彼の声が、ひどく楽しげだったからだろう。

 どうしてそんな声を出せるのか、シュエットには皆目見当もつかない。

 壊れたおもちゃみたいに、シュエットはぎこちない動きで振り返った。