そこはまるで、高貴な身分の人の部屋のようだった。

 床には絨毯が敷かれ、置いてある調度品は、使用するのに躊躇しそうな高価なものばかり。

 そもそもここは、牢なのだろうか。

 天井近くには窓があり、そこから日の光が差し込んできている。

 やろうと思えば容易に、脱獄できてしまいそうだ。

 シュエットはとりあえず近くにあったソファへ腰掛けた。

 フカフカのソファに感動しながら、改めて室内を見回す。

「ここが牢? まるで貴族の館の一室みたいじゃない」

「ああ、牢じゃないよ」

 部屋にはシュエットしかいないはずなのに、背後から声が返ってくる。

 シュエットはビクリと体を震わせた。