いや、気づこうと思えば、気づけたはずだ。

 例えば、この会場でのエリオットの所作。

 普段の彼からは想像できないくらい完璧に、シュエットをエスコートしていた。

 煌びやかな世界に臆することもない、堂々とした出で立ち。

 あれは、彼がこの世界に慣れているからだったのだろう。

 どんなに背伸びしたって、どこかしらにほころびは出るはずだ。

 なのに彼には、それがなかった。

 思い返せば、キリがない。

 あれもこれもそれも、全部伏ヒントだったじゃないかと腹立たしくなってくる。

 もちろん、自分にだ。