「公爵様は、変装することがあるの?」

「ないことも、ないような……」

「ふぅん?」

「どうしてそんな質問をするのかな?」

「実はあの人……私、一度だけ会ったことがあるの。でも、肌や髪の色が違うから、どうしてなのかなと思って」

「なるほど」

「迷子のフクロウを探しているって言っていたから、お忍びで変装して探していたのかしらね?」

「どうだろう?」

 曖昧に言葉を返すエリオットに、彼はやはり公爵様が苦手なのだと結論づける。

 華やかな舞踏会でせっかくカッコよく決めているエリオットを、これ以上困らせるのは忍びない。

 シュエットは「そう」とだけ言って、口を閉じた。