シャンデリアの明かりで、身につけた宝石たちが星のように輝きを増す。

 大きく開け放たれた窓から、春らしい花の香りをまとった夜風が吹き込み、時折いたずらするようにドレスの裾を揺らしていった。

 ポカンと唇を開いたまま見入るシュエットに、隣でエスコートしていたエリオットがクスリと笑む。

 途端にシュエットは頰をパッと赤らめて、恥ずかしげに俯いた。

(今夜のエリオットは、まるでエリオットじゃないみたい)

 自信満々で、余裕のある大人の男。

 シュエットのことを、一分の隙もなく完璧にエスコートしてくれる。

 馬車を降りて会場へ入る間までのわずかな時間であっても、エリオットはシュエットを一人で歩かせないし、常に隣で気遣ってくれていた。

 それが当然のマナーなのだとしても、シュエットはエリオットに、とても大切にされているような気がしてならない。