そんな中、突然やってきたメイドたちは、あっという間にエリオットを部屋から追い出し、シュエットをバスルームへ押し込んだ。

 もがくシュエットに構わず、彼女たちは肌と髪を手入れし、その合間に「今夜の舞踏会のために来た」と説明してくれた。

 軍隊のように統率の取れたメイドたちは、シュエットの髪を結い、着付けて、化粧を施す。

 そうして誕生した鏡の向こうの美女に満足げに頷いて、メイド部隊はピピへ恭しく頭を下げてから、颯爽と去っていった。

 まるで嵐のようだった、とシュエットは呟く。

 そんな彼女に、ピピはニヤリと意味深な笑みを浮かべて言った。

「シュエットに、最後の試練を言わねばならぬ」

「最後の試練? 舞踏会が最後じゃないの?」

「二人の試練はな。シュエット個人の、最後の試練はこれからじゃ」

「私の、試練?」